2024年も8月に入り、そろそろ年末繁忙期の車両確保が気になってきた方もおられるかもしれません。
先日、日本物流学会関東部会にて、元キユーピー上席執行役員(ロジスティクス本部およびIT・業務改革推進担当)の藤田正美氏のお話を聞きました。
2013年末のトラック不足を始め、「運んでくれるトラックがいない!」騒動から学んだことは、以下のようなことだったそうです。
■「運べなくなる」のは突然訪れる
車両不足が徐々に進行していく中で、「実際に運べなくなる」事態は突然、発生する。
特定の業種、業態、エリア、個社等により、部分的に発生する。
発生してから誰かに助けてもらおうと思っても、誰にも助けてもらえない(既にみなギリギリの状態に追い込まれているので、協力したくてもできない)。
運べない事態が発生すると、担当者は対応に振り回され、顧客からの信頼は低下し、負のスパイラルに陥る。業績にも影響する。
■「運べない」事態の時に物流事業者はどう行動するか
物流現場においても超繁忙状態となる。
運賃は多少上がろうとも、良心的な事業者であれば不当に運賃を嵩上げしてぼろ儲けするようなことは行われていないと承知している。
需要に対し供給力不足が圧倒的となる中で、できる限りの物流を行うため、短時間での判断・対応を余儀なくされる。
そのようななかで、全荷主について「輸送量を一律〇%カット」のような対応をする場合がある。その場合、取引量が多い荷主のほうが影響は大きくなる。
また、配車しやすい荷主を選ぶ可能性もある。時間が確実に読める、ドライバーが嫌わないなど。
■物流事業者に「選ばれる」には?
黒字の荷主であること。
作業時間が確定できる荷主であること。
藤田氏のお話は以上です。
荷主の方々は是非参考にして頂き、トラック不足に備えて頂ければと思います。
さらにもう一点。
ある運送事業者から聞いたことですが、もしトラック不足が明らかになったら、ドライバーに対してばかにしたような態度をとる荷主は真っ先に「お断りする荷主」になるだろう、とのことでした。
「選ばれる荷主」になるには、黒字であることはもちろん、予定どおりに仕事ができる、作業負荷が大きすぎない、といった業務内容に加え、ふだんからお互いにリスペクトできる関係を構築していくことも重要だといえます。
■車両の逼迫度合いが運賃に現れるWebKIT運賃成約指数
最後になりましたが、冒頭のグラフは全日本トラック協会ホームページに掲載されているWebKITの運賃成約指数です(https://jta.or.jp/pdf/kit_release/202407.pdf )。
WebKITは、トラック運送事業者どうしの貨物と車両のマッチングを行うサイトで、車両不足の逼迫度合いを確認しやすい指標として知られています。藤田氏の話題にのぼっていた2013年12月の指数は119、2013年度3月の指数は126でした。今年は4月以降130を超えており、2013年の水準を既に超えていることになります。
既にどこかで運送事業者による「荷主の選別」は始まっているかもしれません。
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