■ちなみに「標準運送約款」て??
「標準運送約款」とは、「トラック事業者が荷主等と締結する運送契約のひな形」です。
非常にざっくり言うと、荷主の方々は、運送事業者と契約を締結する際、デフォルトがこの約款の内容であると思って頂いてよいということです。運送事業者はすべて約款を定め、国土交通大臣の認可を受ける必要がありますが、標準約款と同一の内容であれば、大臣の認可を改めて受ける必要はないのです。正式名称は「標準貨物自動車運送約款」です。約款そのもののリンクはこちら→(https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001738538.pdf)。
■現行の商慣行は前提としない
国交省資料によれば、トラック運送事業者が必要な運賃・料金を収受できるよう、商慣行であっても悪いものは是正していくという姿勢が読み取れます(https://jta.or.jp/wp-content/uploads/2024/03/mlit_yakkan_new.pdf)。
■改正のポイント
大きな改正は下記のとおりです。
積込み・取卸し料金)積込み、取卸しを引き受けた場合、運賃と別に料金を頂きます(第61条)
待機料金)発地または着地において待機が発生した場合、待機料金を頂きます(第34条)
利用運送事業者の通知・手数料を荷主から収受)利用運送を行う場合、実運送事業者名を予め荷送人に通知し、利用運送手数料を頂きます(第17条)
キャンセル料)中止手数料について、集貨予定日の前々日に運送の中止をしたときは、運賃・料金等の 20 パーセント以内、前日ならば同30%以内、当日ならば50%以内を頂きます(第38条)
契約内容の書面化)取引内容を書面化し、相互に提出すること(第6条、7条)
積込み、取卸しについて、これまで無意識にドライバーに任せていたかもしれませんが、運送事業者に「依頼」し「料金」も支払う必要があることになりました。
ただこれは、本来、運賃とは運送のみの対価であったため、約款の改悪ではなく、本来の姿に戻すという性質のものです。
待機料金、キャンセル料金については、荷主への遠慮からこれまで収受が難しかったものについて、適正な設定を行ったものと言えます。
利用運送とは、いわゆる下請けの事業者を利用するということですが、これに関わる改正の目的は「実運送事業者の収入を持続可能なレベルで確保する」ことにあります。
■荷主には必要なトラック台数を減らす取り組みが求められる
物流を持続可能にするため、運送事業者が今後も事業運営を可能とするため、必要なドライバーの人数を確保するため、このような環境整備を行わないといけない事態になっているということです。
荷主にとっては、輸送に係るコストがかさむ“改悪”と思われるかもしれませんが、時代背景として捉えて頂くしかありません。必要なトラック台数を減らす取り組みを行うことにより、トラックの単価が上がってもトータルの物流コストは上がらないような工夫が必要になるでしょう。
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